英文契約書においては、日本の契約書とは異なる考え方が用いられる場面が多々あります。
比較すると特徴的なポイントがたくさんありますが、その内の一つとして今回”consideration”について挙げたいと思います。
この”consideration”という単語は、英文契約書上では「約因」という意味なのですが、この「約因」という言葉を聞いてもあまり日常会話で使う事もほぼ無く、パッとイメージが沸きづらいかと思います。この”consideration”は英文契約書特有の概念だと言えます。
“in consideration of”というフレーズで使われることが多く、「~を約因として」という意味で用いられます。英文契約書を締結するにあたり、契約当事者の双方がどのような義務を負担するのか、それを最低限明記する必要があります。例を挙げれば、物品商品売買の場合であれば、売り手は商品を買い手へ売り渡し、買い手は売り手へ商品代金を支払うという、この約束のことを指します。
では一体なぜ、このような記載を行う必要があるのでしょうか?
英米法においては、契約上で何らかの紛争が発生した場合に、もしこの”consideration”の明記がなされていない契約に関しては、契約の当事者が訴訟を起こそうとしても、裁判所は取り合わないからです。約因の記載の無い契約書に関しては、結果的にその契約全体が効力を持たなくなってしまう可能性があるため、この”consideration”をしっかり定義しておくことは非常に重要なポイントとなります。
前述したような物品などの商品売買だけでなく、その他様々な契約関係に”consideration”は存在します。例えば、サービス契約においての約因であれば、サービスを提供するという約束と、その対価を支払う約束とで成り立ちます。またライセンス契約の場合であれば、知的財産の使用許諾とその使用料であるロイヤリティが約因となります。
(例文)
“In consideration of the services, ABC shall pay to KVC the amount of five million US Dollars”
(訳)
そのサービスの対価として、ABC社は、KVC社に対して、500万米ドルを支払う
といったように、文脈によって訳は相応に変化します。
日本の契約書とは異なる概念も加味し、後のリスクに対して事前に注意しながら作成する必要のある英文契約書は、慣れていない方にとっては非常に難易度の高いものであり、専門家へ相談して作成を進めることをお勧めします。
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