今回は、Agency Agreement(代理店契約), Distributorship Agreement(販売店契約)を締結するにあたっての注意点を、ポイントを絞ってご紹介したいと思います。
そもそも「代理店契約」と「販売店契約」は、どう違うのか?
「代理店契約」も「販売店契約」は、日本では代理契約と扱われ、違いはほとんどないです。
しかし、英文契約では、”Agency Agreement”と”Distributiorship Agreement”では、法的効果の点で大いに異なります。
例えば、日本メーカーが海外の販売店を契約した場合、”Agency Agreement”にて締結した場合は、現地で販売した代金回収リスクは、日本メーカーが負担するのに対し、”Distributorship Agreement”で締結すると、代金回収リスクは、海外の販売店が負うことになります。
その他、主な大きな違いを2つ取り上げます。
“Doing Business”問題とは
“Doing Business” 問題とは、外国での思わぬ課税問題のことをいいます。
例えば、日本のメーカーがアメリカ向けに商品を販売するため、”Agency Agreement”を取り交わした場合、アメリカの税法上では、”Agent”が”Principal”(日本のメーカー)の “Permanent Establishment”(略称”P.E.”)とみなされるリスクがあります。 その場合、”PE”を通じた、日本メーカーのアメリカでの継続、反復的な営業活動とみなされ、”Agent”を通した所得に対し、”Principal”はアメリカで納税申告することが求められ、課税される場合あります。 もし納税を怠ると「みなし課税」を受ける恐れがあるという事を知っておくとよいでしょう。
“Distributorship Agreement”であれば、”Distributor”の販売は”Principal”(メーカー)から独立したものになるので、 “Principal”は売り渡すだけであって現地国では販売していないこととなり、”Principal”は課税を避けることができます。
反トラスト法とは
平たく言えば、反トラスト法とは、アメリカの独占禁止法のことです。 たとえば、”Agency Agreement”では、”Principal”が販売価格を決めることになっていることは、「知っておくと役立つ!代理店契約と販売店契約の違い」で触れましたが、もし”Distributorship Agreement”を選び、日本の商品をアメリカで売る場合に、”Distributor”の価格を、”Principal”(メーカーや商社)が決めてしまうと”resale maintenance”となって、反トラスト法違反となってしまいます。
以上のような問題を避けるためにも、事前にできるだけ多くの法律や様々な条件を調査し、それをもとに契約書によって詳細をしっかり決めておくことが、文化や言語の違う国の会社とより良い関係を築き、ビジネスを発展・成功させる上で、不可欠となります。
【さらに合わせて】Differences between an Agency Agreement and a Distribution Agreement(英文)
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<用語マメ知識>
Principal : 本人
Agent : 代理店
Distributor : 販売店
Agency Agreement: 代理店契約
Distributorship Agreement: 販売店契約
Permanent Establishment: 恒久的施設
Resale maintenance: 再販売価格指定