UCCの構成
現在のUCCは次のように構成されています。
第1編:総則
第2編:売買
第2編A:リース
第3編:流通証券
第4編:銀行預金および銀行取り立て、
第4編A:資金移動
第5編:信用状
第6編:詐欺的大量売却
第7編:倉庫証券・運送証券その他権原証券
第8編:投資証券
第9編:担保取引
以上9編から構成されていますが、英文契約書上、重要なのは第2編です。第2編は、物品売買に関する一般的な商慣行を法典にしたものです。売買契約の解釈、契約の成立、契約上の義務、権利(債権者と善意取得者)、契約の履行、救済(債務不履行に対する措置)といった項目についても規定されているからです。
英文契約書の各条項には、英米法の伝統的考え方に加え、米国統一商事法典(UCC)等の概念、考え方が色濃く反映しています。一例を挙げます。
(例文)
Disclaimer(保証の否認)
EXCEPT AS PROVIDED HEREIN, SUPPLIER MAKES NO WARRANTIES OF ANY KIND, EXPRESS, IMPLIED, STATUTORY OR OTHERWISE, AND EXPRESSLY DISCLAIMS ANY SUCH WARRANTIES.
(訳)
本契約に規定されている場合を除き、供給者は、明示的、黙示的、法律上のものかそれ以外であるかを問わず、いかなる種類の保証も行わず、それらの保証を明示的に否認する。
UCCと英米法の「保証」
英米法上の保証は大きく「明示的保証」と「黙示的保証」に分類されます。
「明示的保証」とは、当該製品が仕様書に合致することを表明するなどして一定の事実が表明されていることの保証です。
「黙示的保証」の内容の代表的なものが「商品性」”merchantability”(UCC第2編314条)、「特定目的への適合性」”fitness for a particular purpose”(UCC第2編315条)、非侵害」”non-infringement” (UCC第2編312条)などです。
「商品性保証」とは「商品として一般的に有すべき性質、商品としてふさわしくないこと」の保証、「特定目的への適合性」保証とは「製品を購入する購入者の目的を供給者が知ることができた場合には、その製品がその目的に適合していること」の保証、「非侵害」保証とは「製品が他人の所有権や知的財産権を侵害していないこと。」の保証を意味します。
これらの保証責任は、契約で「否認(disclaim)」することで排除できますが、上記の例文のように「大文字」で目立つ形での記載が必要であると米国統一商事法典(UCC)には規定されています。
これと似たケースで損害賠償があります。UCCの規定では、各種損害賠償があり、購入者の損害賠償請求の範囲が広がってしまう可能性があります。その場合、やはり上記のように損害賠償の排除規定を設定するのが普通です。
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