英文契約書の作成、翻訳、修正時によく見かける用語には、”foregoing“、”aforesaid“があります。
これらが英文契約書で使用される場合、両語とも通常「前述の、前記の、上記の」等と訳されますが、これらは前述の条項や用語・語句等を再度、参照する場合などに使用されます。
まず、”foregoing“を使った例文を見てみます。
(例文1)
In any case of the foregoing, ・・・
(訳1)
前記の事項が起きた場合、・・・
(例文2)
NOW, THEREFORE, in consideration of the foregoing and the mutual covenants and conditions contained herein, ・・・
(訳2)
そこで上記及び本契約書に規定された相互の約束と条件を約因として ・・・
(例文2)は契約書の前段部分の最後に登場する文章で、この前に当事者が契約締結に至った背景について説明されています。それに引き続いて「以上の背景を前提として・・・」というこの一文が記載されています。
(例文2)なお、”in consideration of”(約因として)については、「知ると納得!英文契約書用語14」で解説しております。「約因」は日本の契約書にはない考えです。
次に、”aforesaid“を使った例文を見てみましょう。
(例文3)
Any other provision contrary to the present Regulation is also repealed as of the aforesaid date.
(訳3)
本規則に反する、その他何れかの規定も、同(上記)日付で廃止する。
(例文4)
Based on the aforesaid reasons ,the court has come to its decision.
(訳4)
上記の理由に基づき、裁判所は判決を下した。
“Foregoing”、”Aforesaid”以外にも、”There…”などの表現や、”Same”などという表現も前に出た内容を指すことがあります。
英文契約書のドラフトを作成する時点で、このような「指示語」の利用には気を付ける必要があります。それは、何を指しているのか曖昧であると、解釈に争いが生じたり、相手方が自社側の考えていた意味には解釈されず、別の捉えか方をしていた、という問題を生じることもあるからです。
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