今回は、英文契約書・秘密保持契約のポイント(第2回目)について書いていきます。

秘密保持契約は、業界を問わず、頻繁にご依頼を受ける英文契約書ですので、典型的なポイントをまとめて記載致します。

一般的に「秘密情報」に含まれないもの

例え、ご自身にて「秘密情報」にしたいと考えても、「公知の情報」「開示を受ける側の当事者が既に開発、発見し、保有している情報」「裁判所や監督官庁からの命令」「第三者から合法的に取得した情報」の類は、「秘密情報」の適用外とする条文を多く見かけます。

「秘密情報」の返還・破棄

契約期間が終了、または契約の解約となった場合、「秘密情報」を返還または破棄する条項を予め入れておくことは有効です。

「秘密情報」を返還してもらうことはできますが、すでに相手方へ開示した情報が複製されるリスクがあると考えれば、破棄する内容も含めることがあります。また返還が困難な状況は、破棄する対応を条文に盛り込むことも頻繁に見られます。

使用言語について

日本国内での「秘密情報」について、使用言語を契約書に盛り込むことはほぼあり得ないのですが、海外に絡む秘密保持契約においては、「使用言語」について確認を行うことをお勧め致します。

英語が一般的な使用言語だと思われますが、現地語が存在する場合の取り決めを、事前に契約書に盛り込むことをお勧めします。

また翻訳作業がある場合、オリジナルの取り扱い、齟齬(そご)がある場合の優先事項も定めておくとよいです。

「交渉力」を身に付ける。

「交渉力」を身に付ける、と書くと、読む方により、様々なイメージを起こしてしまうのですが、例えば、英文契約書では、準拠法(今回の秘密保持契約書において、どの国、地域の法律を採用するのか、という意味です。)といった場合、当然、契約の当事者は、自国の法律を選択する主張を致します。

日本の企業であれば、日本法を準拠する方が、最も妥当な選択であることは言うまでもありません。

万一、争いとなり、契約書にて相手方の国の法律が準拠法となっていた場合、弁護士の確保、紛争解決の見通しの立てやすさを考えると、日本企業にとって法的リスクは、準拠法が日本法のときより断然高くなります。

一方、契約書は相手方の合意も得て成立するものである以上、契約締結前よりも、日常のビジネス活動から「交渉力」を意識して経済活動を行う方が、交渉上有利に進みやすいと言えます。

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