横浜で英文契約書の対応を行っている、かもめ行政書士法人です。

今回のタイトルは、「英文契約書に何を書くのか?」ですが、普段英文契約書を見られている方には、英文契約書に記載する内容はイメージを浮かびやすいかもしれませんが、ほとんど英文契約書を交わすことのない方にとっては、想像もつかない、というものかもしれません。

この記事では、端的に英文契約書に記載する主なポイントについて解説していきます。

英文契約書には、まず契約する目的を書く。

「英文契約書には、まず契約する目的を書く。」というと、本当に当たり前のことです。しかし、「契約当事者Aは何を求め、契約当事者Bは、Aの要望を受けて、こういったものを提供する」といったことは、英文契約書では「前文」と言われ、英文契約書の要約の一部に該当致します。

英文契約書は、事実上「英米法」の考え方に基づき、「英米法」において契約が成り立つ重要な条件として、Consideration(「約因」と訳されます。がなされていることが挙げられます。

Consideration(約因)には、(i) 法的価値(Legal Value)と、(ii) 取引の交換(Bargained-for Exchange)が求められています。詰まるところ、AとBとの間に取引をして、AがTVを20万円で販売していて、Bは20万円支払い、TVを購入すること、ということですが、契約が成立するためには、「価値の取引交換」を意識することが、英文契約書には求められています。

日本で使われている契約条項を並行的に使わない。

私たちは日本にいると、日本で「当たり前」のことが、海外でも「当たり前」と無意識とつい思いがちです。

逆に海外でも自国が当たり前であれば、海外でも「当たり前」と思われることは多々あります。

契約書においても、日本の契約書では、「協議解決」条項が一般的ですが、英文契約書にて「協議解決」がない訳ではありませんが、あっても一部です。

日本では、「まず契約を交わして、その後問題があれば協議・話し合いをしよう」という発想ですが、英文契約となると、「話し合いを行って、完全合意として契約を交わす」発想に近いです。

一般的ではありますが、日本では「協議」として平和的な解決を目指しますが、海外では、自身の正当と考える主張を行う場面も多く、「協議」という様子はありません。

そのため、英文契約書では、予見されるリスクを洗い出し、その対応策を事前に契約書に記載するスタンスが取られます。

以前、日本で使用している契約書をもって、英訳して海外の取引先との契約書としたいという問合せもありましたが、いささかリスクのある契約書になる恐れがあります。

英文契約書の一般条項はおろそかにしない方が良い。

英文契約書を読んでいますと、時折”GENERAL”(一般的)という「章」が出てきて、いわゆる「一般条項」が書かれています。”GENERAL”(一般的)と関われていないとも、契約書の最後の方になると、「準拠法」「生存」「分離性」「完全合意・変更」「権利放棄」「譲渡」「不可抗力」等の条項が書かれています。

ある程度、英文契約書に慣れ、一般条項を見ると、「また書かれているな」という思いになります。英文契約書を書く場合も、「一般条項だから」という気持ちになると、ついつい書き忘れも起きてしまうかもしれません。

日本語で「一般条項」と言われると、「お決まり」感があり、軽視されやすい側面があります。

「一般条項」となったのは、契約を交わしていく、という長年の歴史を経て一般化した条項と分かると、一般条項は決して疎かにできないのも事実です。

弊行政書士法人にて、以前対応した事例ですが、英文契約書の作成の依頼を受け、英文契約書を作成しました。

その後、再び依頼の方から「相手方から以前の取引条件を持ち出されて、どうすれば良いか?」という相談を受けました。

その英文契約書には、「完全合意・変更」条項を書いていたので、完全合意の意図と契約修正するときの対応を説明し、相手方からの以前の取引条件を否定することができました。

まとめ

英文契約書を作成するときには、

① 契約する目的を明確にし、とりわけConsideration(約因)に気を付ける。

② 日本の契約書を並行的に英訳した契約書は避ける。

③ 一般条項はおろそかにしない。

ことに留意していただければと思います。

【併せてお読みください。】

「知っておきたい!英文契約書の一般条項」

英文契約書のご相談、ご依頼は、かもめ行政書士法人にお任せ下さい。100件を超える全国各地からのご依頼に対応した実績がございます。初回相談は無料で対応しています。

無料相談実施中。045-392-3713までお電話ください