今回は、英文契約書において時おり見かけるラテン語の語句の1つ、”mutatis mutandis“について解説します。そもそも、なぜラテン語が英文契約書に使われているのでしょうか。

ラテン語は古代ローマ帝国の公用語であり、ローマ帝国の滅亡後も、ローマ・カソリック教会の公用語となり、現在もバチカン市国の公用語となっています。11世紀にフランスのノルマンディー公がイングランドを征服して以来、英国人が積極的にラテン語系の単語を取り入れたため、威厳を求められる法律や契約書にも登場するようになりました。

以上のような歴史的背景に加え、もう一つ理由があります。19世紀まで、ヨーロッパ各国の大学での学位論文はラテン語でした。近代においても学問的世界において、ラテン語は権威ある言葉であるとともに、1つの近代語の立場に偏らず、中立的でいられるという側面もあるので、英文契約書においてラテン語が時おり使用されていると考えられます。

さて、前置きが長くなりました。”mutatis mutandis“は「必要な変更を加えて(加えれば)」という意味を持ち、動詞”apply”(適用する、適用される)と組み合わせて「準用する」という意味で使用されます。

ラテン語の動詞”muto”(取り替える、交換する、変える)から”mutatis”は”being changed”を意味し、”mutandis”は”what should be changed”の意味を持つため、”mutatis mutandis“は、”things being changed which should be changed”(必要な変更を加えて(加えれば))という副詞的な意味になります。使用例を見ていきます。

(例)

Article A shall apply mutatis mutandis to cases where the Seller commits a breach of Article B.

(訳)

売主がB条に違反した場合、A条を準用して適用する。

(例)

The provisions of paragraphs 1 and 2 of this Article shall also apply mutatis mutandis to sublicensing contract.

(訳)

本条第1項と第2項の定めは、サブライセンス契約に準用されるものとする。

ラテン語は、このように使用されますが、最近では、ラテン語の難解さもあり、契約では正確さを欠く場合もあるので、法律などでは見かけますが、契約書では、以前よりラテン語由来の言葉が使用されるケースが減少しています。

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